170号
社会の中で行われる様々なケア(care)労働をどのように評価し、どのように理解するかという試みは、福祉レジーム論やフェミニスト経済学などの多様な専門分野の視点から論じられてきた。
これらの文献が共通して訴えるのは、
まず、第一に、ケア(有償無償両方)の軽視に対する批判、
第二に、市場への懐疑主義(ケアを受ける者への高品質のケアの提供およびケア提供者の評価という2点に関して)、
第三に、有償または無償でケアを提供する者が、いかに社会権にアクセスし、その経済保障を強化するべきかという意見が不可欠である、ということである。ケア・ダイアモンドは、ケアを提供する4つのアクター、すなわち、家族、市場、公的部門、ならびに非営利部門、の相対的大きさや関係などを図式かする有益な方法であり、ケア労働の国際比較を行う際にも有効な分析フレームワークである。