埼玉学園大学紀要 vol.9
一般的に、消費税の逆進性の緩和策には消費税の枠内で行う緩和策と、枠外で行う緩
和策とがある。消費税の枠内で行う緩和策の具体例として、生活必需品に対してゼロ税
率を設けて、消費税の税率を複数にする方法がある。それに対して、消費税の枠外で行
う緩和策には、低所得者層が負担した消費税額を給付で補うか、あるいは所得税額の控
除という形で補う方法とがある。
本論文では、今後予想される消費税率7%(国民福祉税案)、10%(井堀[1996]、水
野[1996]の見解)、28%(厚生省の見解)のもとで、消費税の逆進性が所得再分配機能
にどのような影響を及ぼすかを推定した後、それぞれの逆進性緩和策が負担の格差をど
の程度まで減らすのかを明らかにする。