【企画係】
小説厚生省(16)
役所の中ではハンコが重要で些細な供覧文書にも押印しているが、もっとも重要な国会答弁案については、直接担当課長まで決裁をあおぐことも稀だ。総理大臣あての質問の場合は、内閣参事官室(昭和40年当時)のOKが要る。省内では、大臣官房文書課の総括補佐の了解が要った。
小説厚生省(17)
当時、医療保険問題の質問が多かったが、岡村の文案のまま、厚生省大臣官房文書課の課長補佐までみてもらえばOKであった。新しい質問であれば、係長に見てもらい、課長補佐が見ればOKだった。その係長は自治省(現在の総務省)から出向していた梅本善一だった。
小説厚生省(18)
梅本善一は、昭和36年自治省入省組。財政課長などを経て奈良県知事を長く務めた俊秀だった。遅くまで酒をともにして、まだ独身だった梅本のアパートに泊まった夜もあった。何十巻もある「地方自治資料集」があたりを圧していた。係長といっても、部下は、岡村を含め2人だけだ。